原題: A Wonder Book for Girls & Boys
既存の翻訳(人の手による訳) · 訳 三宅幾三郎 (†1941) · 出典: 青空文庫 Aozora Bunko · パブリックドメイン
「ワンダ・ブック」A Wonder Book for Boys and Girls, 1852. は「少年少女のために」書かれたものではありますが、それがために調子をおろしてかかったようなものでないことは、作者ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne, 1804―1864. が、その「はしがき」で述べている通りです。ホーソンはアメリカ文学史上、一二をあらそう大作家であります。そんな立派な人が、こうした美しい物語を書きのこしてくれたことは、少年少女にとって、非常な仕合せといわなければなりません。 ホーソンは、一八〇四年に、マサチウセッツ州のセイレムという古い港町に生れました。彼の祖先は英国から渡って来た清教徒でした。彼の祖父は独立戦争の時、船長として勇ましい働きをしました。父もまた船長でしたが、ホーソンの小さい時になくなりました。母一人の手で育てられながら、彼が「今に船乗りになって二度と帰って来ない」などと言い出したのも、祖父や父のことが頭にあったからでしょう。しかし彼は、ふとしたことから、本を読むことが好きになり、自然をこまかく見たり、物事を深く考えたりするようになりました。そして、作家になろうという決…冒頭 · 三宅幾三郎