原題: Meditationes de prima philosophia
既存の翻訳(人の手による訳) · 訳 三木清 (†1945) · 出典: 青空文庫 Aozora Bunko · パブリックドメイン
私をしてこの書物を諸賢に呈するに至らしめました理由は極めて正當なものでありますし、諸賢もまた、私の企ての動機を理解せられました場合、この書物を諸賢の保護のもとにおかれまするに極めて正當な理由を有せられるであらうと確信いたしますので、茲にこの書物を諸賢にいはば推薦いたしまするには、私がそのなかで追求しましたことを簡單に申し述べるにしくはないと考へる次第であります。 私はつねに、神についてと靈魂についてと、この二つの問題は、神學によつてよりもむしろ哲學によつて論證せられねばならぬ諸問題のうち主要なるものであると、思慮いたしました。と申しますのは、われわれ信ある者には、人間の靈魂の肉體と共に滅びざること、また神の存在し給ふことは、信仰によつて信ずることで十分でありますとはいへ、たしかに、信なき者には、先づ彼等にこの二つのことが自然的理性によつて證明せられるのでなければ、いかなる宗教も、また殆どいかなる道徳上の徳すらも説得せられうるとは、思はれないからであります。そしてこの世にお…冒頭 · 三木清