原題: Les Misérables
既存の翻訳(人の手による訳) · 訳 豊島与志雄 (†1955) · 出典: 青空文庫 Aozora Bunko · パブリックドメイン
法律と風習とによって、ある永劫の社会的処罰が存在し、かくして人為的に地獄を文明のさなかにこしらえ、聖なる運命を世間的因果によって紛糾せしむる間は、すなわち、下層階級による男の失墜、飢餓による女の堕落、暗黒による子供の萎縮、それら時代の三つの問題が解決せられない間は、すなわち、ある方面において、社会的窒息が可能である間は、すなわち、言葉を換えて言えば、そしてなおいっそう広い見地よりすれば、地上に無知と悲惨とがある間は、本書のごとき性質の書物も、おそらく無益ではないであろう。 一八一五年に、シャール・フランソア・ビヤンヴニュ・ミリエル氏はディーニュの司教であった。七十五歳ばかりの老人で、一八〇六年以来、ディーニュの司教職についていたのである。冒頭 · 豊島与志雄